※別のところで書いていた読書記録を転載。
実際に読んだのは2023年1月1日くらい。
『ライオンのおやつ』小川糸
「でも、ワイン作りをするようになってから、自分の思い通りになることなんて、ほとんどないんだな、って気づかされたというか。腹を立てて怒ったところで、相手を傷つけるだけだし、自分も疲れるし、いいことないよね。この仕事をするようになって、気が長くなったのは確かだよ」
〈それでもぬいぐるみたちは私に笑いかけてくれた。その優しさに気づいた時、私の中で何かが吹っ切れた。こんな荒廃した心のまま、人生を終えてはいけないと思った。いや、悟ったのだ。〉
〈痛みにはふたつあるのだと、マドンナは言う。ひとつは、体の痛み。もうひとつは、心の痛み。そして、体の痛みと心の痛み、両方を取り除かなければ幸せな最期は訪れないのだと。ホスピスは、体と心、両方の痛みを和らげるお手伝いをしてくれる場所だった。私がホスピスを選んだのも、苦しんで死にたくないからだ。あれ以上の痛い思いを、もうしたくなかった。〉
「それで、うたうことは何も都会のステージの上じゃなくてもできるな、って気づいて。私が幸せならそれでいいや、って吹っ切れたんですよ。」
「雫さん、よく眠り、心と体を温め、よく笑うことです。いい人生を送りましょうね」
〈死を受け入れる、ということは、自分が死にたくない、という感情も含めて正直に認めることだった。少なくとも、私にとってはそうだった。〉
〈不思議なことに、死に近づけば近づくほど、私は実の両親の存在を強く感じるようになった。私が今ここにいるのは、すべて、両親のおかげだった。〉
〈今というこの瞬間に集中していれば、過去のことでくよくよ悩むことも、未来のことに心配を巡らせることもなくなる。私の人生には、「今」しか存在しなくなる。〉
〈もう、元気な頃の体には、戻れない。でも、元気な頃の心は取り戻せた。そのことが今、すごく誇らしい。〉
「もう、人生をやり直す時間が、残っていない。傷つけた人に、頭を下げて謝ることもできない。自分を支えてくれた人に、お礼を伝えることもできない」
〈人生というのは、つくづく、一本のろうそくに似ていると思います。ろうそく自身は自分で火をつけられないし、自ら火を消すこともできません。一度火が灯ったら、自然の流れに逆らわず、燃え尽きて消えるのを待つしかないんです。(中略)生きることは、誰かの光になること。自分自身の命をすり減らすことで、他の誰かの光になる。そうやって、お互いにお互いを照らし合っているのですね。〉
まさかの年越し読書😇
なにも死に直面してからでなくて、今この瞬間からよく眠り、心と体を温め、よく笑いたい。そんな毎日を送れるようにするぞ2023年。
いや、元日早々この時間に起きてる時点で『よく眠り』はできてないけど。
雫ちゃん…。
主人公の雫がすごくいい子だった。いい子過ぎた。ストレスなく読める。話がスッと入ってくる。素晴らしい主人公。好き。
しかし子持ちに百ちゃんのエピソードは「こうかは ばつぐんだ!」すぎて大晦日の夜に鬱った(ノД`)・゜・。
「死って、最大級のオー○ズムみたいなものなんじゃないかと期待しているんですよ」って、ええええwww突然のワードに面食らったわ。雫ちゃんもそりゃびっくりだよ。
本当にそうならいいっちゃいいけども。どうなんだろ。
生きること、死に方について考えさせられる良い本だったー。ところどころ泣きながら読んでしまった。
とにかくすごく良かった☺️
文庫待ちで買って読んだけど、さっさと単行本で買っとけばよかったなぁと思うくらい。
あー前々から思っていたけど久しぶりに行きたいな瀬戸内。
そういや、『食堂かたつむり』は冒頭の恋人に持ち逃げされたくだりが何でか全然共感できなくてダルくて読むのやめてしまったんだよなぁ。
頑張って読めばよかったかしら(^-^;
▼こちらも涙した小説。町田作品も面白い。
▼最近読んだ小説。かわいそうだけどヤバいやつ。