※別のところで書いていた読書記録を転載。
実際に読んだのは2022年8月22日くらい。
『永遠の片隅で君と』園田裕彦
「人生はいつも初めての経験ばかりで、どう生きたらいいか分からなかった。だから、あんなふうに生きることしかできなかったんだ」※
「みんな、自分では選べない運命の下に、どうすればいいか分からない、初めての、たった一度きりの人生を、それぞれ一生懸命生きているんだ」
「自分には、健康があった。若さと未来があった。そんな一番素晴らしいものを持っていたのに、そのありがたさにきづかず、愚痴ばかりたれて人生を無駄に過ごしてきたように思った。」
「自分が持っていた素晴らしいものは、まるで“空気”のように何も感じず、自分にないものばかりに憧れ、そして、自分が持っていたものが失われようとするとき、初めてその大切さ、素晴らしさに気付くなんて…。」
「結婚は、自分の人生を相手にプレゼントすることだと思ったの。見返りなんて求めない。」
「人を愛する気持ち、一緒にいたいという気持ちは、未来の長さに関係ないと思います。」
「生と死の問題は、(中略)本当はすべての人にとって大きな問題なんだ。(中略)自分なりの結論めいたものを出さないと、不安でしようがないし、いざその時が来てしまったときに後悔すると思うんだ。」
「永遠の無の前では、20年の命も80年の命も大した差ではない。“永遠の無”の狭間の“一瞬の生”ということは、すべての人に共通のことなんだ」
「人生は長さではない。中身だ。“一瞬の生”の間に、どれだけ人を愛し、また自分に関わってくれた人に感謝できるかだ。」
「人生は長さじゃない。どう生き、どう自分の人生に幸せを感じるかだ」
「今の世の中の一番の元凶は、『自分さえ良ければ』という考え方である。(中略)独善的で排他的な考え方が問題を起こし、結局、社会全体や世界全体をゆがめ、多くの不幸を生み出している」
「結局、『自分さえ良ければ…』という考え方は、世の中全体を不幸にし、巡り巡って自分自身をも不幸にするのだ。」
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※「もしもこの人生が予行演習だったなら次はもっとうまくできるのに」
と歌ったのは大知くん(作詞はNaoさん)でとても胸にブッ刺さったけど、本書のこのセリフもちょっと胸が痛くなるくらい沁みた。
どう生きたらいいのかそこそこ生きた今も分からない&もっと上手くできたよなぁとか。
本当分からない
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表紙の絵は著者作。この作品にとても思いを込めたんだなぁと。
著者は元々労働法についての本を書くなどの方なので、そのためか落ち着きある無駄のない簡潔な文体。
無駄に感情を煽られることなく物語についてフラットに考えることができるし、サラリと読みやすい点がとても好感。
この手の本にしてはとても珍しい。
またそんな著者だからか、病気の治療法や代理母出産、心と体についての様々な説、社会問題等について箇条書きや例を取り上げしっかり説明しているので、良くも悪くも「私新書読んでるんだっけ?」と思うことが3回くらいあった。笑
きっとものすごく調べられたのだろう。
アバウトな点が全く無いし、当時の実際の出来事も話に織り交ぜられているので、もうこれ実話なんじゃないかと思うレベル。でもこれフィクションなはず…。
話の展開は、本の少し思うところもあったけど、説明や心情が十分に描かれているので彼らにはこれで良かったんだと心から納得できた。
ターくん幸せになって。
病による人の生死をテーマにした本が読みたくても、
重すぎる難病系ノンフィクション(結局可哀想すぎる)、
感動させようとさせる意図が透けて見える難病系フィクション(エンタメとしては好きだけど真面目な気分には合わない)、
リアリティが薄いファンタジー難病系フィクション(同上)。
これらが苦手な私には、この本はすごく合っていた。
どう生きていくのか自分なりの方針を考えたい。
自分なりの死生観を持ちたい。
後悔の無いように子どもを愛したい。
今からでも遅すぎることはないだろう。
何も考えずに愚痴ばかりたれていても、無駄に死に近づくだけだし。
あと、独善的で排他的な私の性格も何とか矯正したい…。