※別のところで書いていた読書記録を転載。
実際に読んだのは2022年10月8日くらい。
『アラスカ 風のような物語』星野道夫
「便利なものを受け入れていく中で、どこかでそのラインを引く必要があるのじゃないかということなんだ」
〈自然は時折、物語をもった風景を見せてくれる。いやそうではなく、きっと、僕たちをとりまく風景はすべて物語に満ちているのかもしれない。ただ、人間にそのパズルが読めないだけなのだ。〉
〈人の持つ運は、日々の暮らしの中で常に変わってゆくものだという。それを左右するものは、その人間を取りかこむものに対する関わり方らしい。〉
〈自然の番狂わせは、何か気持ちをホッとさせる。弱者には、弱者なりの生きる術がちゃんとあるのかもしれない。〉(サテライト・ムース)
〈自然とは人間の暮らしの外にあるのではなく、人間の営みさえ含めてのものだと思う。〉
〈その土地の風景を自分のものにするために、そこで誰かと出会わなければならないということだ。もしそうでなければ、風景は映画のスクリーンをただ眺めているように、決して自分自身と本当の言葉を交わさない。そして旅をすればするほど、世界はただ狭くなってくるだけだろう。けれども、誰かと出会い、その人間を好きになったとき、風景は初めて広がりと深さをもってくる。〉
〈人間には二つの大切な自然がある。日々の暮らしの中で関わる身近な自然、そしてもうひとつはなかなか行くことのできない遠い自然である。が、遠い自然は、心の中で想うだけでもいい。そこにあるというだけで、何かを想像し、気持ちが豊かになってくる。〉
「人の心は深くて浅い」など『旅をする木』に出てきたワードがチラホラ出てきたので復習になった。
ただ、思想的な内容は『旅をする木』のほうが充実していたかな。深かったというか。
こちらはアラスカで出会った人々との交流・彼らの人生、アラスカの自然(動物たち)とのエピソードが多かった。
深く語るというよりは、どちらかというと提示したり投げかけたりする感じ。
あと写真盛りだくさん。最初のハクトウワシ、カッコ良すぎ!シロフクロウの目も良かったわ…。
『旅をする木』でも出てきたドン・ロスさんの写真があったのが嬉しい。
しかし若くして亡くなられたのが本当に悲しい。絶筆原稿も、とても素敵なことが書いてあった。残してくれた文章を噛みしめるほかない。
▼最初に読んだ星野さんの本。文章がステキすぎる。