※別のところで書いていた読書記録を転載。
実際に読んだのは2022年11月19日くらい。
『融合しないブレンド』庄野雄治
〈生活のために三十六歳からコーヒーロースターになった凡人にできるのは、自分にはなにができるかを真剣に考えることだけだった。考えに考えて、そして出てきたものの小ささに打ちのめされ、それでも考え続けた。正しい答えがどこかにあると信じて。今はそんなものはないとわかっているけれど、あの頃は本気で正解を探していた。〉
〈変わっていったのは私ではなく、世間が私を見る目。〉
〈未来は描くものではない。目に見えているもの、それがすべてだ。将来の見通しがないのは、決して悪いことではない。今見えているものが美しく幸福ならば、それは最高じゃないか。明日は今日の繰り返し。十年後も今日の繰り返し。繰り返しを繰り返すのだ。〉
〈その存在に気がつかなければ、それはあるものではなくないものなのだ。〉
〈でも本当は、不得手なのではなく、ちょっと時間がかかるだけなのかもしれない。器用なのではなく、本質まで踏み込んでいないだけなのかもしれない。得手は不得手で、不得手は得手なのだ。どっちでもいいし、そんなことは考えなくていい。〉
〈できないことをやるのではなく、やれることを楽しく懸命にやればいい。補うより、いいところを合わせればいいのだ。〉
〈融合ではなく混合。思想や主義が違っても、それを誰かに合わせるのではなく、各自がそのままで生きていられる世界。〉
〈ここには融合はないけれど、分断もない。〉
〈だけど私は融通が利かないため、決まりがあるならその通りにするのがいいと思う性分だ。嫌だなあと思う自分がいけないのだから、ちゃんとやらなければいけない。いつもそう考えてしまうのだが、それが知らず知らずのうちに淀みとなって心を重くし、一番大切なことから逸れていってしまう。〉
〈だけど、すべての物差しは自分。人にはわからないものなのだ。〉
〈どんな人でもゴールは同じだけれど、最後の瞬間は全員違う。どうやって生きるかより、終わりをどう迎えるか。〉
〈生と死は表裏一体。だから私はこれからも、最高の終わりに向かって毎日を全力で生きていく。〉
〈少しのズレは、家庭の空気を和らげる効果があるような気がする。意志が統一されることは一見美しく見えるかもしれないが、それはときに関係を息苦しくさせる。〉
〈無理に間を埋めなくてもいいのだ、そう思ったら途端に心が凪ぎ、身体が緩んだ。〉
〈だけどいつ頃からだろう、嘘をつくより正直でいる方が楽だと気づいた。賢いなあと思われるより、馬鹿だなあと思われていた方がずっと楽な性格だったのだ。〉
〈悪くなったときや間違ったときは、すぐに止まることが大切。何度も間違うのが人だから、そのたびに立ち止まることができたらと、どんなにいいだろう。〉
〈誰かが言った言葉に喜んだり傷ついたりする。そのたびに感情は動く。そして言葉の裏を読み、いらないことを考えて知らぬ間に疲弊してしまう。〉
〈家族だから自分と同じ、そういう思い込みほど恐ろしいものはない。〉
〈私が一番大切にしてきたのは、いかなる状況においても思考することを止めないこと。〉
〈誰かがうまく歩んだ道を選んだとしても、順調に進めることはない。たくさん失敗して、それを学んだ。だから、自分にとって大切だと思うことを優先し、それができる場所を見つけることに注力した。どんなに遠回りをしても、自身のやり方を見つけるしか方法はないのだ。自分の価値観で選択するしかない。〉
コーヒー飲めないけどもね。
タイトル、装丁、本の佇まい
が何だか良くて、その場で少し読んだら内容も良さげで、後日えーいっとポチった本。
実にアタリで万歳。
こういう出会いって、なかなかじんわり嬉しくなる。
コーヒーロースターである筆者の日常自体、知らない世界だから面白いけども、
やっぱりどの世界でも自分なりの結果を出した人の言う事って、結局似通っているのがまた面白い。
今を生きるのが幸福度をあげるんだなー
とか、
自分軸大事だよなー
とか。
それとも、そういう価値観の人の本を無意識に選んでいるのか?
自分はそういう考え方を求めているのだろうか?
憧れているのだろうか?
最近自己がよくわからんくなってきたからな。三十路過ぎたのにw
あぁ、イタタタ
四十路って不惑の歳言うけどさ、数年後に不惑の女になっている気が全くしない。
惑ってばかりの我が人生よ…( ゚д゚)